「震災で気がついたことがあるんです」

お客様とお話しているときに

「私、今回の震災で気がついたことがあるのです」と言いました。

聞いてみると・・・

「今まで普通に生きていたことがとても幸せで、会社に通勤して、お給料をもらえて、ご飯を食べられることがとっても幸せだと思いましたし、したいことを早くやりたいと思いましたし、今まで漠然と結婚したいと思っていただけですが、本気で愛する人を見つけて結婚しようと深く思いました」といいました。

「そうね、あの強烈な凄さを見た時に、私もそう思いました。幸せのありがたさを思いましたし、自分が生きているうちにしなければならないことを整理して、手にいれようと思いましたね。確かにみなさん、漠然としていたと気が付き、そして実行しようと思われた方は多いですね」と言いました。

「そうでしたから、私以外にもいらっしゃるんですね」

「ええ、特に女性の方はやはり結婚して、妊娠して子供を産んでおきたいと言われる方が多いですよ」というと

「え〜やっぱり」と言いました。

女として生まれてきたんですもの。 

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やはり妊娠出産はしてみたい。

自分の子供に会ってみたい・・・

私も・・もう無理だけど、会って見たかったです。

「それで・・」と彼女が続けるので聞くと

「幼馴染の吉川君(仮名)が好きだと気が付きました」というので

「震災で気が付いたの?」と聞くと

「はい、震災の番組を見ていたら吉川君の顔が出てきて、急に連絡を取りたくなって・・・」

「あら〜」

「この人となら一緒に・・と思ったのです。そしてすぐにあれ?なんでそんなこと思ったんだろう・・と思いました。冷静になったら私が彼の事が好きだったという気持ちに気がついて。今までは友達だとばかりおもっていたのですが」と言いました。

相性もいいし、連絡したら?と聞いたら

「でも・・・彼は○○県の田舎で実家の商売をしているんです。私は都会が好きだし・・」というので

「それは・・無理だものね・・」

「は・・い」

生活感覚が違いますものね・・

よく聞いてみました。

彼女の実家と彼の実家は近所で幼いときから可愛がってくれたし、彼のご両親は好きだし、とても仲良し家族だし、結婚はしてもいいけれど・・でも田舎が・・ということでした。

う〜〜〜ん・・田舎には都会のものが無いし・・

「ちなみに・・実家のお墓参りしてる?」と聞くと

「しばらく行けてません。お休みも取れないし、私、サービスの仕事なので」というので

「なんとなくなんだけど・・・近いうちに行ったらいいですよ。一泊してきたら?」と話し

「それなら時間をとって行ってきます」と言いました。


それから彼女からメールが来て

「実家に帰ると連絡したら、母親から実は父親が入院している、と聞かされてびっくりしました。母は私に心配をかけたくなくてかくしていたそうです。休みをとってよかったと思いました」と書いてありました。

それで会社に話しをして3日間有給をもらい、里帰り。

駅に着くとあの幼馴染の吉川君が迎えに来ていました。

お母さんから聞いて代わりに来てくれたそうです。

車の中で父親の様態を聞き・・

「帰ってきてくれてよかったよ、きっとお父さん喜ぶと思う」と言われたそうです。

病院につき、父親の顔をみてびっくり。

痩せて、すっかり小さくなったのをみて、こんなになるまで隠していたんだ・・と思うと、自分がきちんと実家に帰っていたらよかった・・と反省したそうです。

東京にいる妹にも話しをしていないということで・・・

命の時間も初めて聞き、彼女は愕然としたそうです。

「私ばかり甘えていたんだ・・」と思ったそうです。


次の日、看護で大変な母親なので、家の事が手につかなかったので、彼女は家の掃除をしました。

そしてそれから病院にいき、父と話し・・

口数の少ない父親が、一生懸命話してくれるのをみて、自分に気づかいをしてくれるのが心痛くて・・

病室をでて、車に乗った時涙がでてきたそうです。

私は何をしていたんだ・・と。

すると車の窓ガラスをたたく音がして、見ると吉川君。

ドアを開けて乗せると

「どうしたの?」と。

心の内を話すと・・

「俺も正直辛い。いつも大切にしてくれたおじさんだし。なんにもしてやれてくて・・本当につらいよな」と話し二人で泣いていたそうです。


「こんな時変な話だけど・・」と彼がいい

「おじさんが痩せていくのを見ていたら、いつも俺から本当のことをお前に連絡しようと思ったけど、でも連絡できなくて・・ごめんな。そしてあの震災を見ていた時、命って深く考えたんだ。そしたらお前の顔が浮かんできて、お前だったらいっしょに行ってもいいかな・・と思ったんだ」と。

それを聞いて彼女も自分もそうだった、と答えたそうです。

田舎だから・・ってずっと思ってどっかで自分の心をごまかしていたということも伝えたそうです。

「田舎が嫌いってことも理解しているから、好きだとは無理には言えなかった・・」と。

彼とまた会う約束をして、家に帰りました。

そして家でお母さんとご飯を食べているときに

「どうかしたの?」と聞かれ、彼との話しをしたそうです。

すると

「そうね、あなたは田舎が嫌いだから仕方ないから・・でも無理はしないでね。あなたの人生だし。ただ・・・」

「ただ?」

「吉川君、いい子でしょう?お見合いの話たくさん来るのよ。でもね、写真もみないで断るらしい。好きな子がいますから、って。なんとなくあなただと思っていたけど、でも田舎は嫌いだから・・あなたは結婚はしないだろうと思うし。でも吉川君、それでもあなたをまっているのでしょうね・・いつか帰ってくるかもしれないって」

「はっきりしてあげなさいね。彼の人生も無限ではないから・・ね」

そういってお母さんはその場を離れました。

リビングで一人で彼女は考えたそうです。

テレビの番組で震災の放送をしていました。

私は・・私は・・どうしたらいいんだろう・・・・

すると震災の番組の中で何人もの人が愛する人を探しているシーンが流れていました。

「あ・・愛する人を失った時、壮絶な苦しみと悲しみがあるのね・・」と思った時、あ、と気が付いたそうです。

今、彼は独身だからのんびりしているけど・・きっと彼が結婚したら・・私悲しむと思う。

だって・・一緒にあの世にいってもいいと思ったぐらいなのに。

どこに住んでいるかが問題じゃない、愛する人と一緒にいられること、生きていけることが一番大切だし、その機会を失ってはいけないんだ・・と思ったそうです。

それからすぐ彼に連絡して、会うことにしました。

彼との待ち合わせ場所に行くと・・

彼が待っていました。

彼女から言ったそうです。

「吉川君・・」

「うん?」

「吉川君のお嫁さんにしてくれる?」

「え?」

「会社に迷惑かけないように辞めて、こっちに戻ってくるから。あと少し待っててくれる?」

「こっちに帰ってくるから。そして仕事を見つけて・・・」というと

「仕事さがさなくていいよ。僕の家で働いてくれたらいいし、それに・・・」

「え?」

「いぁ・・悔しいな〜俺から先に‘結婚してくれ、帰ってきてくれって’言おうと思ったのに・・」

「あ・・ごめん」

「でも、嬉しいや、お前が帰ってきてくれたら、もう俺は何もいらない。仕事がんばって、お前や両親やお前の両親も支えて見せる。俺は頑張れるよ」と言って彼女を抱きしめたそうです。

そして

「俺から言いなおしていいかい?」というので

「うん」というと

「結婚してください。絶対結婚してください。お願いします」というと

「はい」と答えたそうです。


「長く待たせたんだね・・」と私が言うと

「はい」と彼女は言いました。


夏のボーナスをもらって退職し、実家に帰るそうです。

そして就職先は彼の実家。

お母さんが

「周りの人に娘が返ってくるって言ったらみんな喜んでくれてね〜お父さんなんて食欲がよくなって栄養ついてるわよ」と言ったそうです。

先日、彼から

「この前、おじさんに会った時に‘吉川君以外に嫁に行くと娘が言ったらそれは間違ってるぞって言おうとおもったが、言わずにすんだよ。娘をよろしくお願いします’と言われたよ」と連絡が来たそうです。


「今の会社の人やこちらの友達に礼を尽くして、最後まで徳積みをして・・田舎に帰りましょうね」というと

「はい、頑張ります」と彼女は笑顔で答えてくれました。


 
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